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It is a tale like a storm.

司つくしメインです。

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真夏の通り雨 10

PC用のテンプレ変えてみました。
時間で色が変わるそうです。

6月で4周年を迎えます。
時間があれば、短編か中編を更新したいなと思ってます。
こんなのが読みたいよーってあれば、お願いします。

では、続きをどうぞ↓

小さなマンションの前に着いた。
西田から荷物を受け取った竜と共にエレベーターに乗る。
鍵を開け、竜が「ただいま」と玄関で言えば牧野が走ってきた。
『竜!大丈夫だった?道明寺に何もされてない?』
「おい、人をなんだと思ってる」
「ご飯ご馳走になっただけ。あと、これは買ってもらった」
スーツのポケットから取り出したスマホ。
『スマホ?ちょっと何勝手な事してんのよ!っていうかスーツ!まさか今日の為に買ったんじゃないでしょうね?』
俺を睨みつける牧野。
「俺が竜に買いたかったんだよ。マリと買い物するのとはまた違って楽しかった。な、竜」
「はい」
『竜を物で手なずけて何をしようって言うのよ』
今にも俺に掴みかかりそうな牧野。
「TPOに合わせて着替えて何が悪い。竜のあの恰好じゃ店には入れなかったぞ」
『だったら連れて行かなければよかったでしょ?大体何なのよ!あんたNY帰ったんじゃないの?あんたいるなら行かなかったのに!』
「・・・そんなに俺に会いたくないか?」

再会してから、牧野が俺に向ける視線には敵意さえ感じていた。
まるで俺を視界に入れたくないような、拒絶している態度だった。
やっぱり俺は牧野が好きで、再び手に入れたいと思ったのは再会してすぐだ。
俺の細胞が牧野を求めている。
昔のように戻りたいと思うのは、無理なのだろうか。

「・・・玄関じゃ近所迷惑になるから狭いですけど中入ってください。西田さんには俺から連絡しときます。俺は自分の部屋にいるんで、ごゆっくり」
空気を読んだ竜が先に家の中に入っていった。
俺を睨んでいた牧野は小さくため息をつく。
『確かに近所迷惑だわ。話が終わったらすぐ帰ってよ』
部屋に入っていく牧野に続き、俺も靴を脱ぎ廊下を進んだ。

『あんたの口には合わないと思うけど、どうぞ』
一口飲んで、止めた。
昔も牧野のアパートで飲んだ、インスタントコーヒーの味だ。
こんなことも覚えているなんて、俺は相当やられてるな。
『で、あんたはあたしたちをどうしたいわけ?』
「もう一度、お前とやり直したい」
『・・・無理に決まってるでしょ』
「どうして無理だと思ってる?」
牧野は言葉を詰まらせた。

俺たちはお互いに独身だ。
何も問題はない。
子供はいるが、大丈夫だろう。
理解できない年でもない。
日本に帰国することも決まっている。
もう誰に反対される事もないはずだ。

牧野が言葉に詰まっている間、部屋の中を見渡した。
綺麗好きな牧野らしく、片付いていてスッキリとしている。
リビングのテーブルの横にはマガジンラックがあり、新聞や雑誌が並んでいた。
その中の1つに見覚えがある。
徐に立ち上がると、その雑誌を取りに行った。
「これ、先月取材受けたぞ」
俺が表紙を飾り、特集が組まれている経済誌。
それがここにある。
牧野、これが答えでいいだろう?

『ちょっと、触らないで!』
俺の手から雑誌をひったくり、背中に隠した。
「お前、普段から経済誌なんか見てるのか?」
『・・・見てるわよ。仕事上、話題になるもの。今月号の表紙がたまたまあんただったってだけでしょ』
「ほぅ。そうか、そうか」
俺から目線を逸らし、耳を赤くしている。
俺が表紙だから買ったらしい。
まだ望みがあるっていう事だな。
それがわかっただけで今日の所は勘弁してやろう。

牧野の頭を撫でる。
そのまま腕の中に閉じ込めたいのを我慢して、再び椅子に座った。
「今日、竜に話したんだけどよ」
竜の話題を出すと、素直に椅子に座った。
・・・雑誌は裏返してテーブルに置いたが。
「あいつに英徳受けさせたいんだ」
『はぁ?何考えてるのよ』
「牧野だって卒業してるんだからわかってるだろ?あそこはレベルの高い進学校だぞ」
『そのくらいわかってるわよ。竜だって成績いい方だし、これから受験勉強すれば一般でも受かるかもしれない。でも、あの環境は良くない。それに学費も高いし、他の進学校でもいいと思うけど』
「今の英徳に俺らみたいなのはいねぇよ」
『いたら困るわよ。・・・っていうか!あんたに竜の進路なんて関係ないでしょ?あたしと竜で話し合って決めるわよ!』
「・・・じゃあ、竜が受けたいって言ったらOK出すんだな?」
『それは・・・』
「決まりだな」
居心地が良すぎてずっといたい気もするが、そうもいかない。
牧野は絶対怒るだろう。
「じゃあまた来る」
立ち上がりながら言うと、『来なくていいわよ。二度と来るな』と俺の背中にビシビシと言葉をぶつけてきた。

すげぇ楽しい。
やっぱり、いくつになっても俺にこんな事を言う女は牧野だけで。
俺の心に血が通っていくのがわかる。
「竜、またな」
竜の部屋の前で声を掛ける。
扉が開いて、竜が顔を出した。
「はい。今日はありがとうございました」
頭を下げた竜の頭を撫でる。
「番号くらいは母ちゃんに教えとけよ」
「はい」

玄関に行けば、俺と竜の靴が並んでいた。
靴を履こうとすれば、牧野が安っちい靴べら・・・って言えんのかどうかもわかんねぇやつを差しだす。
靴を履きそれを渡せば、牧野は黙って受け取った。

別れる前、牧野の部屋から仕事に行く時はこうしてくれてたな。
・・・まぁ牧野が起きられた時に限るが。

「俺が帰ったらちゃんと鍵閉めとけよ」
『わかってるわよ。あたしの事いくつだと思ってるわけ?』
「見た目は昔と何ら変わってねぇよ」
『中身は年取ったのよ。・・・本当にもう来ないで。竜にも関わらないで。早く帰ってよ』
「ちょっと、母さん!」
厳しい言葉を浴びせる牧野を竜が咎める。
「いい、竜」
俺はそう言われるような事を牧野にしたんだ。
受け止めなければいけないのは十分わかっている。

俺から視線を逸らしたままの牧野と、俺に対して申し訳なさそうな顔をしている竜。
「じゃあな」
軽く手を上げ、玄関を出た。
鍵が閉まる音を確認すると、エレベーターに乗る。

あいつがあまのじゃくなのは今に始まった事ではない。
これから面白くなりそうだな。
にやける口元を手で隠しながら、エントランス前で待機しているリムジンに乗った。



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