FC2ブログ

It is a tale like a storm.

司つくしメインです。

11<< 12345678910111213141516171819202122232425262728293031 >>01

真夏の通り雨 5

今回はつくし視点です。

では、続きをどうぞ↓

タマさんのお見舞いには1週間に1回は行っていた。
時間の経過と共に病状は悪化していき、数カ月経った頃には起き上がる事は出来なくなっている。
今では酸素マスクの管を鼻につけて、点滴が必須だ。
『タマさん、もうすぐ秋ですよ。銀杏の木が黄色くなってきました』
あたしの話にも、あまり答えられずに聞いているだけ。
それでも良かった。
タマさんが行けない外の話し、竜の進路の話を一方的にして、短い時間で帰っていく。
死が近づいているのが、あたしでもわかる。
何もしてあげられないから、せめて会いに行くくらいはしたかった。

これが最後のお見舞いだろう。
竜と2人で、タマさんの手を握った。
『やっと、旦那さんのとこに行けますね』
泣かないように必死に我慢する。
翌日。
本当は家族にしか連絡は行かないが、頻繁にお見舞いに来ていたからか看護師たちとも仲良くなり、連絡先を教えていた。
仕事に行く前に電話が来て、タマさんが天国へと旅立った事を、知らされた。

お通夜に行くのは気が引けた。
けど、お焼香して手を合わせたかったから竜と一緒に向かう。
葬儀の案内のはがきも来たし。
・・・まぁ、電話番号調べられたくらいだから住所だって簡単だよね。
大きな斎場には、道明寺家の使用人ばかりだった。
前方に見える、クルクル頭。
見たくなくても視界に入って、邪魔をする。
焼香台に向かうのに、少しだけ足が進まなかった。
それに竜が気付いて、そっと背中を押してくれる。
こんなんじゃダメだ。
気を取り直して、あたしは焼香台に向かった。
焼香を終え僧侶に一礼をした後、遺族席に頭を下げる。
あたしの顔を見て、道明寺もお姉さんも、道明寺のお母さんまでもが驚いた顔をしていた。
もう関わる事がないと思ったけど、こんな形で会うなんて思ってもいなかった。

通夜を終え、斎場を出ようとしたところで引き留められた。
見たこともない人、誰なんだろう・・・
「道明寺家の執事をしております、青山と申します」
『初めまして、金石です』
言った後に、この人と電話した事あったと思いだした。
「少しお時間よろしいでしょうか」
『え、あ、はい・・・竜、いい?』
「いいよ」
竜と共に、別室に案内された。

開けられたドアの先、そこには道明寺家が揃っている。
あまりの威圧感に帰ろうと思ったけど、竜に止められた。
振り返り帰ろうとしたあたしの腕をがっちりつかまれている。
「話あるんじゃないの?」
『あたしはない。帰る』
「逃げない、行くぞ」
あたしより堂々と部屋に入り、案内された席に座った。
その隣にいそいそと座り、バッグを傍らに置く。
顔を上げると、目の前には道明寺が座っていた。

「お集まりいただいたようなので、早速始めます。遺言書を預かっていますので、開かせていただきます」
話が始まって、そちらの方を向く。
弁護士バッジをつけた、弁護士であろう人が、封筒を開けている。
「拝読します」
なぜ自分がここにいるのかがわからない。
タマさんの遺言書に、あたしたちは関係ないんじゃ・・・
「私の財産の全てを、金石つくし、金石竜に相続させる。」
それ以外は頭に入らなかった。
竜と目を合わせ、動揺を隠せない。
「・・・以上です」
『あの・・・』
みんなの視線を一斉に浴びるが、言わずにはいられない。
『なぜ、私たちに?』
「もう1通ありますので、そちらも拝読します」
手紙の内容に、涙が止まらなかった。

つくし、竜坊ちゃん
いつもお見舞いありがとう。
あんたたちに会えるのが、私の楽しみだった。
20年ぶりにつくしに会った時、あまりにもキレイになっていて驚いた。
昔と変わらない笑顔も、私に喜びを与えてくれたよ。
つくしの話を聞いているだけで、私は元気になるんだ。
だけど病気には勝てなかった。
年も年だからね、仕方ないさ。
竜坊ちゃんには言うなって言われてたけど、もう死んだから言わせていただくよ。
竜坊ちゃんは1人でお見舞いに来てくれていた。
2人でつくしの話をして、笑ったもんさ。
本当に優しい子に育ったね。
あんたの優しさ、そのままだよ。

それでね、私の少ない貯金だけど、家族がいない私にとってはどうしようもないんだ。
だから、つくしと竜坊ちゃんに受け取ってほしい。
竜坊ちゃんが高校と大学に進学する時にでも使っておくれ。
これで、私は安心してあの人の元へ行ける。
私の最後の頼み、聞いておくれよ。

「と、記されています。」
涙で返事が出来ない。
「・・・手続きお願いします」
竜の一言で、涙が止まった。
『竜!勝手に』
「勝手じゃない。タマさんから話は聞いてたんだ。母さんは絶対反対するから黙っててって」
『知ってたの?』
「あぁ。俺だっていらないって言ったよ。でも、家族がいないタマさんの遺産は国に還る事になる。それだったら、受け取ってもらった方がいいって。俺未成年だから、結局は全部母さん名義になるんだけど」
『もう~なんなのよ2人して』
「いかがなさいますか?」
弁護士さんに返事を催促される。
『・・・手続きお願いします。それがタマさんの意向なら、拒否できません』
「わかりました。それでは後日・・・」
弁護士さんと連絡先の交換をした。
『それでは、失礼します』
席を立ち、部屋を出ようとした。
「つくしちゃん!」
振り返ると、お姉さんが近寄ってくる。
相変わらずの美しさで、正しく美魔女そのものだ。
「お久しぶりね。こんなに美しくなって、大きい息子さんもいるのね」
目を潤ませ、あたしと竜を交互に見る。
『お久しぶりです。お姉さんも変わらずお綺麗ですね』
「ありがとう。あのね、私もつくしちゃんの連絡先聞いてもいいかしら。またあなたに会いたいの。竜くんも一緒に」
『・・・はい』
電話を取り出し、連絡先を交換した。
「つくしちゃん、竜くん、タマさんの事、本当にありがとう。海外にいる私たちはあまりお見舞いに行けなかった。でも、あなたたちのお陰でタマさんも寂しい思いしなかったようね。あなたに再会できた事も、本当に感謝だわ」
『お礼を言われるような事は何もしていません。あたしたちも、タマさんに会うのが楽しかった。それだけです』
「あなたらしいわ。しばらく日本にいるから連絡するわね」
『はい』
道明寺の方は見ないように、道明寺のお父さんとお母さんに頭を下げ部屋を出た。



ポチっとお願いします。

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村
スポンサーサイト



COMMENT▼

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

TRACKBACK▼

http://stormstory849.blog.fc2.com/tb.php/380-f98efc32

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

 | ホーム | 

プロフィール

MAMI

Author:MAMI
原作、ドラマどっちもファンです!
設定が混ざってしまうかもしれません。
お許しください…

不定期にて週2回の更新が今の精一杯です…

たくさんのアクセス、拍手、コメントにいつも感謝してます!

バナーを作ってみました。
さらに、素敵なバナーも頂きましたので好きなのをお持ち帰りください。
当サイトはリンクフリーです。←今さら
好き勝手にペタペタしてくださいませ。


ログイン数

参加中

リンク

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR