FC2ブログ

It is a tale like a storm.

司つくしメインです。

11<< 12345678910111213141516171819202122232425262728293031 >>01

傷痕さえも愛しくて 36

夢を見た。
英徳の制服を着たおかっぱ頭の女。
非常階段、ラウンジ、バスケットコート、土星・・・

普段寝起きの悪い俺が、パチッと目を覚ました。
腕の中には牧野がいる。
それがどれほどの奇跡なのか、その体を抱き寄せ温もりを確かめた。

全てを思い出した。
あの日、水上コテージですげぇ緊張しながら牧野を抱いた事。
それが倖を妊娠したきっかけだった。
俺が刺されて記憶を失くしたばかりに、牧野には悪い事をした。
「ごめんな、牧野」
聞こえていないだろうけど、言わずにはいられなかった。

『・・・どう・・・みょう・・・じ?』
腕の中でもぞもぞ動きだした牧野。
「起こしたか?」
『いいの。あれ、今日って早かったっけ?』
寝起きのトロンとした目が可愛い。
「目が覚めちまったんだ。夢見てな」
『どんな夢?』
「英徳の制服着たお前が、非常階段で居眠りしてる夢」
そこで目がぱっちりと開いた。
『それって・・・』
「全部思い出した。昨日牧野が倖に話してたから、それがきっかけだったかもしれねぇな」
『本当に全部思い出したの?』
「あぁ。赤札も、スキー場で遭難した事も、水上コテージでの事も、全部」
『遅いよ、バカ』
「牧野、ありがとな。倖を産んでくれてありがとう」
泣きだした牧野を抱きしめた。


家でもオフィスでも、牧野がいる。
こんなに贅沢な事はない。
後は、結婚するだけだ。

真夏の暑い日に、仕事を終えて家に帰ると庭の方がにぎやかだった。
玄関に牧野と倖の出迎えもない。
「2人はどうした?」
「お庭の方で流しそうめんを・・・」
近くにいたメイドに聞けばそう答える。
「流しそうめん?」
「はい。牧野様がやろうと提案されまして、花沢様、西門様、美作様、大河原様、三条様、松岡様をご招待されてお庭の方でやられております」
「あいつらヒマなのかよ・・・」
日本を代表するジュニアじゃねぇのかよ。
部屋に戻って着替えると、にぎやかな声が聞こえる方へと向かった。
『あ、おかえりー』
「「「「おかえり」」」」
「ただいま。てめぇらもヒマ人だな」
「牧野の誘いを断るわけないでしょ?」
「久しぶりに倖にも会えたしな」
「こんなにでかくなって、ますます司に似てきたよ」
類に総二郎、あきらも忙しいはず。
それなのに、牧野の一声でこんな時間から集まるとは。

「で、流しそうめんってなんだよ」
牧野に近づいて聞けば、『知らないの?』と驚かれた。
『その名の通り、そうめんを流すの。見てればわかるよ。お願いしまーす!』
長い竹筒の先に、メイドが1人。
水と共に、そうめんが流れてきた。
途中で皆が箸を持って掬っている。
『こうやって食べるのよ。はい、道明寺の分』
つゆの入った器と箸を渡された。
「お父さん、結構難しいよ。僕出来なくてフォークにした」
「よし、俺を見てろ」
倖にカッコいいところを見せないとな。

流れてくるそうめんを見つめ、箸で一気に・・・
「あぁ?」
すくえたのはたった2本。
「倖くんにいいとこ見せようとして、たった2本って」
「初めてじゃできませんよね」
滋と桜子の声が聞こえ睨みつけた。
『そんなんじゃダメだって。このタイミング、ほらっ』
目の前で牧野はかなりの量をすくっている。
「ママすごーい!」
『ほら、道明寺もやってみて』
言われて牧野と同じタイミングですくってみる。
すると、箸にはそうめんがたくさん。
「おぉ~」
『ね、すくえたでしょ?』
満面の笑みで俺を見上げる。

朝、牧野はボソッと流しそうめんがしたいと言ったらしい。
帰ってきたらこれが出来上がっていた。
俺が遅いのはわかっているし、せっかくならとみんなに連絡をしてこうなった。
倖は久しぶりに会うヤツらにすげぇテンションが上がっていた。

「倖、ブドウ流してくれるってさ」
「ホント?種なしがいいなぁ」
そうめんだけじゃなくブドウやミニトマトまで流れている。
類と倖が一緒になってブドウを食べていた。
女4人は固まって何やら騒いでいる。

「そういえばさ、司、記憶戻った?」
その類の一言に、皆が振り向く。
「おい、マジかよ」
「司?」
総二郎とあきらが驚いた顔で俺を見る。
「牧野、言ってなかったのかよ」
牧野がいる方を向けば、『あれ?言ってなかったっけ?』ってとぼけやがる。
「俺は記憶戻ってから会ってねぇよ」
『あたしだって会ってないもん』
「今日俺より先に会ってんだろ?」
『・・・そうか、そうだった。もう当たり前になっちゃって忘れてた』
「つくし~言ってよ~」
女たちは目尻を拭いながら、俺の記憶が戻った事を喜んでいる。
「良かったな、司」
「おぅ。・・・その、迷惑掛けて・・・悪かった」
最後は声が小さくなっていた。
だけど、類たちは俺の方に来て肩を組んでくる。
「何だよ」
ニヤニヤしている総二郎とあきら。
「牧野に一生頭あがんねぇな」
「一途だよな、牧野」
「・・・出産立ち会ったの俺なのに」
「その時間俺に返せ!」
「何意味わかんねぇ事言ってんだよ」
倖が生まれた瞬間を知ってるなんて・・・悔しい。
「牧野だって辛い思いしたんだよ。司が倖が生まれた瞬間知らないくらい、比にならないね」
そう言われてしまえば、何も言い返す事が出来なかった。
「これからの司は、倖のあの笑顔を守ってやる事が一番でしょ」
俺らの視線は、女の輪に入って5人でスイーツを食ってる倖へと向いた。
「当たりめぇだ。倖が誰よりも幸せだって言えるような人生を送らせてやるよ」
「・・・司、復活だな」
「乾杯しようぜ」

グラスを合わせて笑いあった。
高校の時のように、ただ楽しくて。
大事な仲間と、大切な女と、一生守るべき子供と。
楽しい時間はあっという間に過ぎていった。



ポチっとお願いします。

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村
スポンサーサイト



COMMENT▼

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

TRACKBACK▼

http://stormstory849.blog.fc2.com/tb.php/373-bcd5e964

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

 | ホーム | 

プロフィール

MAMI

Author:MAMI
原作、ドラマどっちもファンです!
設定が混ざってしまうかもしれません。
お許しください…

不定期にて週2回の更新が今の精一杯です…

たくさんのアクセス、拍手、コメントにいつも感謝してます!

バナーを作ってみました。
さらに、素敵なバナーも頂きましたので好きなのをお持ち帰りください。
当サイトはリンクフリーです。←今さら
好き勝手にペタペタしてくださいませ。


ログイン数

参加中

リンク

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR