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It is a tale like a storm.

司つくしメインです。

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傷痕さえも愛しくて 34

「『おかえりなさい』」
玄関を入ると、牧野と倖が出迎えてくれた。
それだけで、出張の疲れが吹き飛んだ気がする。
牧野を邸に引っ越させた事を怒って電話してくるかと思ったが、一向にかかってこない。
それどころか今日の様子を見れば、週末は2人で楽しかったのか手を繋いでイチャイチャしてやがる。
俺も牧野とイチャイチャしたいっつうの。
今までは出張から帰ってきたら俺に飛びついて来たクセに、牧野がいたらそれもないのか?
部屋へと歩きながら、後ろをついてくる2人に何かを言いたいが何を言えばいいのか。
牧野相手に?
倖相手に?
結局は何にも言えないんだよ、俺は。
それこそ、惚れた弱みってやつか。
怒りも嫉妬も全てを込めて、大きなため息をついた。

俺が夕食を摂っている間に倖は風呂に入り、牧野は隣に座ってアイスティーを飲んでいた。
『今日、話そうと思うんだけどいい?』
「やっと言う気になったか」
『あの子なら大丈夫だと思ったの。あんたの育て方がよかったんだね』
「当たり前だろ。俺を誰だと思ってるんだ」
2人で笑いながら、週末の事を話した。
倖のベッドで一緒に寝たり、プールで遊んだり、パンケーキを作ったりとそれは充実した週末だったらしく。
『最初は急すぎて戸惑ってたんだけど、来て良かったかも。メイドさんたちがいるとはいえ、倖が1人で過ごしてると思ったらいてもたってもいられなかったよ』
俺が一緒にいたくて言った事だけど、一番は倖の為になっていたって事か。

日本に帰って来てから、1人にさせていた事も多かった。
牧野がいれば、これからは家を空けても倖が寂しい思いをする事もない。
安心して出張に行ける。
家や子供を任せられる奴がいるのは、仕事の活力になる。
指輪のオーダーを早めよう。
一刻も早く、プロポーズしたくなった。

部屋に戻り、倖の風呂を手伝っていたメイドもいなくなると、牧野はクローゼットの中から小さなぬいぐるみを持ってきた。
「僕が持ってるのと同じ・・・」
倖がぬいぐるみを見て呟く。
「倖、座れ。牧野も」
ソファに座ると、牧野は倖と向き合った。
『あたしが、倖のお母さんなの。ママなの』
「・・・嘘だよ」
『ううん、嘘じゃないよ。このぬいぐるみ、倖が1歳の誕生日の時にプレゼントに2つ買って、1つはあたしが持ってたの』
牧野は手に持っているぬいぐるみを、愛おしそうに撫でる。
『花沢類・・・類くん達が誕生日の時ビデオ撮っていたでしょう?それもね、あたしに見せてくれる為だった。見る度に元気になったよ』
「・・・本当につくしちゃんがママなの?」
『うん。今まで言えなくてごめんね。一緒にいられなくてごめんね。寂しい思いさせてごめんね。倖に謝りたい事がいっぱいあるよ』
「うわぁ~ん」
泣きだした倖が、牧野に飛びついた。
優しく抱きしめ、後頭部を撫でる牧野。
「ママ、ママに会いたかったよぉ」
『ここにいるよ。これからはずっといる』

小学生の割には大きい体をしている倖。
聞きわけもいいせいか、時々子供だという事を忘れて接する事もあった。
こうしてみると、母親に甘える普通のガキだって事に気付かされる。
もっと甘えたかっただろうに、可哀想な事をしたな。

「今日、一緒に寝てもいい?」
『うん、倖の部屋?』
「ううん、お父さんも一緒」
「じゃあここで寝るか。牧野、先に風呂入って来い」
『そうだね。倖、お父さんと待っててね』
膝から倖を降ろし、牧野は風呂へと向かった。

ソファの上に牧野がぬいぐるみを置いていった。
倖はそれを持ち上げ、おもむろに匂いを嗅ぎだす。
「何やってんだよ」
「ママの匂いする。初めてつくしちゃんに会った時から、イイ匂いだと思ってたんだ。ママだったんだ・・・」
「牧野が母ちゃんで、よかったか?」
「うん。僕のママはつくしちゃんだよ」
すると、ぬいぐるみを持ったままの倖が俺の元に来た。
甘えたい時にはいつも、膝の上に乗って俺の胸に耳をくっつける。
「ママに会わせてくれてありがと」
「どういたしまして、か?」
「うん。言わないとママに怒られちゃうよ」
「そうだな。あいつは昔から礼儀や挨拶にはうるさかったから・・・」
昔から?
自然と口から出た言葉に疑問を覚える。
自分が記憶喪失だという事を久々に思い出した。
後は俺が記憶を取り戻すだけ。
それが明日なのか、来年なのか、一生思い出さないのか。
倖が牧野と親子としてこれから過ごせるというのに、俺の心の中にはモヤモヤとしたものが広がっていた。




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