FC2ブログ

It is a tale like a storm.

司つくしメインです。

11<< 12345678910111213141516171819202122232425262728293031 >>01

傷痕さえも愛しくて 26

昨日アップした短編にたくさんの拍手コメ、コメントをいただきありがとうございます。
つくし視点、続編などリクエストまで頂いてしまって嬉しい限りです。
今は傷痕さえもに本腰を入れてますので、こっちが終わってから考えたいと思います。

では、続きをどうぞ↓

オフィスの自室。
自分以外のパソコンのタッチ音がこんなに心地良いとは思いもしなかった。

牧野が昨日から出勤してきた。
入院する前と態度は一切変わらない。
プライベートではタメ口だし、俺をあんたと呼ぶような奴だ。
本当にこんな女は俺の周りにはいなかったタイプで、面白いし可愛すぎる。
何をしていても可愛いだなんて自分の頭がおかしくなったのかと思ったが、牧野の良さは俺だけがわかっていればいい。
そう思うようにもなった。

仕事でひと段落つき、早く帰れそうな日があった。
「牧野、今日の夜時間あるか?」
あれ以来残業をさせないで帰らせている為に、早くに聞かないと牧野は帰ってしまう。
『はい、別に用事はありませんけど・・・』
「じゃあ飯に行くぞ」
『・・・はい』
何で嬉しそうな顔をしないのか、その時の俺には分からなかった。

予約したフレンチレストランの個室。
牧野と向かい合って座り、メニューを見る。
「ワインは?」
『ほとんどお酒飲まないの。薬飲んでるし。道明寺は気にしないで飲んで』
「そうか。じゃあ一杯だけ」
自分の分だけをオーダーして、食事のメニューを見た。
『魚も美味しそうだし、お肉も美味しそうだし・・・』
メニューを見ながら迷っている牧野に、吹き出しそうになる。
「じゃあどっちも食うか?」
『えぇ?そんな贅沢いいよ。ん~今日は魚にする!この旬の魚食べたいな』
「わかった。それに合わせてオーダーするぞ?」
『はい。お任せします』
オーダーをして牧野を見れば、部屋の中をキョロキョロと見渡していた。
「こういう店来たことないか?」
『・・・ううん、来た事あるの。前に、司法試験受かった時にみんなにお祝いしてもらったから』
「みんなって類たちか?」
『うん。まだ3年も経ってないけどね』
俺の知らない思い出、俺のいない思い出。
牧野にだって過去があって当たり前なのに、そこに自分がいない事がすごく悔しい。
これが、倖に教えられたヤキモチってやつなんだろうな。
イライラを抑える為に、ワインに口をつけた。

そのうち料理が運ばれて来て、いただきますと言って牧野がナイフとフォークを持った。
『美味しい~』
綺麗に食べながらも、その顔はとても嬉しそうに綻んでいる。
「ホントに美味そうに食う奴だな」
『だって美味しいんだもん』
25とは思えないガキみたいな口調。
そうだ、俺は今日大事な話があるから食事に誘ったんだ。
食事が終わってからにしよう。
もう少し美味そうに食う牧野の顔を見ていたい。

デザートまで綺麗に食べつくし、食後の紅茶を飲んでいる牧野。
よくよく考えてみれば一緒に食事をする機会はほとんどなかった。
牧野は昼の時間になれば自分の部屋に戻り、社員から相談を受けていたりしていたからだ。
残業中に軽食をとるくらいで、まともな食事はこれが初めて。
女と食事をするのがこんなに楽しいとは、思ってもいなかった。
満腹感に加え満足感もある今、牧野って女はますます不思議だと思った。

「2件目どうだ?」
『明日も仕事よ。そんなに遅くは無理』
「話したい事があるんだよ」
『・・・じゃああたしの部屋来る?話終わったら帰ってよ』
牧野は俺が何を話すかわかっているのだろうか。
真剣な眼差しで自分の部屋に来いという牧野からは、何かを期待しているとかそんな雰囲気が微塵も感じられなかった。

『お酒飲む?それともコーヒー?寝る前だからやめとく?』
「酒飲まないのにあるのか?」
『滋さんが置いていったやつね。どこのかわかんないビールが冷蔵庫に入ってるけど』
「じゃあそれでいい」
『ちょっと待っててね』
ソファーに座った俺の前にビールとグラス、小鉢が並ぶ。
背もたれに脱いで乗せたジャケットも、ハンガーに掛けてクローゼットの扉に掛けた。
いつもならメイドがやっている事を、ここでは牧野がしてくれる。
それだけで、俺は小さな幸せを感じていた。

些細な会話をしながら、倖の事を打ち明けるタイミングを狙っていた。
「牧野に大事な話があるんだ。聞いてくれるか?」
『うん』
一息ついて、牧野の目を見る。
「俺には息子がいる。今年7歳になる、小学1年生の息子が」
『・・・知ってるよ。道明寺倖、でしょ?』
牧野から倖の名前が出て焦る。
「な、なんでお前が知ってるんだよ?類たちだな、お前に話したの」
話が漏れるとしたらあの3人しかいない。
『違う。ちょっと待ってて』
クローゼットを開けて、大きめの箱を持ってきた。
中にはアルバムがびっしり入っている。
倖  20○○・1
倖  20○○・2
「これは?」
『倖のアルバム。生まれてから今まで毎月送ってくれてるの。』
「なんで、牧野に?」
そこで、倖がうちに来た時ババァに言われた事を思い出す。
“あなたには恋人がいたの。その人が産んだのよ。もうわかるでしょう?司が忘れた人よ”
「牧野が、倖の母親?」
『今まで黙っていてごめんなさい。言わなきゃいけないとは思っていたんだけど、言えなくて・・・』
「お前が子供を育てられなかった理由は病気、か?」
『・・・うん。大学を卒業するまではもっと発作の頻度も高くて、よく入院してたから』
申し訳なさそうに俯いた牧野。
牧野はどう思っているか知らないが、俺は怒っているわけではない。
「牧野、来い」
手招きして、ソファ―の隣に座らせた。
「俺は、驚きはしてるが別に怒っちゃいねぇよ。あいつは俺にとって宝物だ。その宝物を生んだお前に、感謝以外何を言えっつうんだよ」
涙を流して泣き始めた牧野。
『道明寺~』
抱きしめれば、背中に腕が回る。
「泣くなよ。すぐに倖に会わせてやるから。な?」
シャツに牧野の涙が滲みこむのさえ、愛しく感じた。



ポチっとお願いします。

にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村
スポンサーサイト



COMMENT▼

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

TRACKBACK▼

http://stormstory849.blog.fc2.com/tb.php/363-76cedab6

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

 | ホーム | 

プロフィール

MAMI

Author:MAMI
原作、ドラマどっちもファンです!
設定が混ざってしまうかもしれません。
お許しください…

不定期にて週2回の更新が今の精一杯です…

たくさんのアクセス、拍手、コメントにいつも感謝してます!

バナーを作ってみました。
さらに、素敵なバナーも頂きましたので好きなのをお持ち帰りください。
当サイトはリンクフリーです。←今さら
好き勝手にペタペタしてくださいませ。


ログイン数

参加中

リンク

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR