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It is a tale like a storm.

司つくしメインです。

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傷痕さえも愛しくて 6

司の登場は次回。

では、続きをどうぞ↓

毎日病室を訪れる花沢類に、昨日の出来事を話した。
温厚な花沢類の目の色が変わり、ポケットから電話を出そうとしたのを制する。

「牧野はこのままでいいわけ?赤ん坊取られて、司は牧野を忘れたままで助けてもくれない。確かに病気の事はあるかもしれないけどさ、それはみんなで助け合っていけばいい事じゃん。」
『そうかもしれない。でも、向こうにとっても血の繋がった孫なんだよ。貧乏になるのが目に見えてるんじゃ、黙ってるわけにもいかないだろうし・・・』
「じゃあ、素直に司のおばさんの言う事聞くの?」
『選択肢はないって言われちゃ、それしかないよ』
「牧野らしくない」

わかってる。
そんなのあたしが一番わかってるよ。

『あたしね、妊娠がわかってからずっと不安だった。高校中退のあたしがちゃんと育てられるのかって。本当は、少しだけホッとしてるんだ。英才教育は大変だろうし、道明寺みたいに逃げ出しちゃうかもしれないけど、あたしにはさせてあげられないちゃんとした教育を受けられるんだって。』
「牧野…」
『実は数値も良くないんだ。突発的に熱出したり、手が震えて抱っこもできない時がある。あたし1人で子供を産もうと思った事が間違いだったのかな・・・』
椅子に座っていた花沢類がベッドサイドに座り、あたしを優しく抱きしめてくれた。

あたしが泣くのは、花沢類が着てるニットがあまりにも手触りがよすぎて羨ましいから。
カシミヤ100%なんて、貧乏人のあたしには買えないな・・・
『あたしが育てたかった・・・成長を側で見たかった・・・イヤだよ・・・』
口から出るのは、封印したはずの本心。
今はあたしと花沢類しかいないから。
少しだけ、泣いて吐き出したい。
もう2度と、口にはしないから。


退院する日はあっという間にやってきた。
道明寺のお母さんとベビーシッターが来て、あたしは涙をこらえて赤ちゃんを渡した。
『人弁に幸せと書いて、倖(こう)と名付けました。』
「あなたの分も精いっぱいの愛情を注ぐわ。この子・・・倖はNYで育てます。」
『はい。どうぞ、よろしくお願いします』
深く深く頭を下げた。
次はいつ会えるかもわからない。
次があるかもわからない。
その為にはあたしが頑張らないと。
意地でも死んでやらないんだから。

「これはあなたの学費と生活費が入っています。好きに使いなさい」
渡されたあたし名義の通帳。
開いてビックリ!
信じられない額が入っている。
一、十、百、千、万、十万、百万・・・
数えるのも大変なくらいゼロが並ぶ。
『こんなの受け取れません!お返しします!』
「これは倖をきちんと育てるという保証料だと思って受け取りなさい。
言ったはずよ、費用は全てこちらで持つと。あなたは命を掛けて倖を産んだの。足りないくらいね」
突き返した通帳は受け取ってもらえそうにもない。
でも受け取るのも忍びない。
「あなた、わかってるの?これから勉強と習い事でアルバイトをする時間なんて持てない事。さらには通院もして、病気とも向き合うのよ。」
もっともな事を言われ、あたしは口を噤んだ。
「返そうと思わなくていいの。これはあなたへの投資よ。遠慮なく使いなさい」
『・・・ありがとうございます!大切に使わせていただきます』
あたしへの投資。
それはつまり、将来的には道明寺にとって使える人間になれという事。
「では時間がないから行くわ。一か月までは世田谷の本邸にいるから、母乳を冷凍して届けるように」
『はい、わかりました。』
道明寺のお母さんは倖をベビーシッターに渡すと、そのまま病室を出ていった。

静かになった病室。
手元には大金が入った通帳。
この間花沢類に抱きしめてもらって、涙は出尽くした。
強く生きていくって決めたんだ。
倖を迎えに行けるように、まずは勉強して、病気とも向き合わないと。
抜糸が済んだ傷が痛むのは、あたしの代わりに泣いてくれてるんだと思おう。
大丈夫。
倖は幸せになれるよ。
でもね、道明寺みたいに捻くれないで。
それだけは切に願うよ。

ノックの音がして、助産師が入ってきた。
「牧野さん、搾乳の仕方教えますね~」
『はーい。お願いします』
「あと、張りを抑える方法とか、いろいろね」
『・・・はい』
「出るのにもったいないけど、事情があるんだもん仕方ないわね。じゃあまずは・・・」
ふと視界に入る空っぽになったベビーベッド。
あたしの心も、空っぽになってしまった。

英徳でまじめに授業を聞いていたのが役に立ったのか、高卒認定試験は難なくクリア。
希望していた大学にも合格した。
「何で英徳に来ないの?」
花沢類にそう聞かれ、あたしは理由を答えられなかった。
同じ敷地なんだもん。
道明寺との思い出が少なからずあるのに、通えない。
妊娠中も通っていたのだ。
倖をいつでも思ってる。
でも、いつでも思い出していたらあたしの心臓は持たないよ。
病院で撮った写真があたしの手帳に挟んである。
きっと一生あたしの宝物。
新しいキャンパスで、あたしの人生は再び始まる。



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