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It is a tale like a storm.

司つくしメインです。

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あの雨の日に 32

1ヶ月以上更新できていなくて申し訳ないです。
次回最終話。
では、続きをどうぞ↓
今、俺のいる部屋の空気はピンと張りつめている。
邸内の茶室では、牧野がババアに茶を立てていた。

事の発端は先週。
牧野の契約があと2か月で終わろうとしているところで、ババアの帰国の連絡が入った。
本来は契約が終わってから、道明寺の嫁になれるかの試験があるらしい。
その試験とやらも気にくわねぇけど、親父とババアが出した条件だからと牧野はそれの為に一生懸命頑張っていた。

急な帰国の知らせと共に、牧野の習い事の進捗状況を見たいと言われ茶室にいる。
出かける予定だったのをキャンセルして、牧野は着物を着て準備をしていた。
傍から見ればすんなり進んでいるように見えるだろう。
でも、俺にはわかる。
牧野がとてつもなく緊張している事を。
昼飯を2人分食べたせいで、帯を締めるのを苦しがっていた。
ヘアメイクに髪を結んでもらいながら、ブツブツと手順を繰り返し呟く。

「お前ならできるよ」
『そんな簡単に言わないでよ。相手はあんたのお母さんだよ?緊張しない人なんていないでしょ!』
「・・・牧野様、あまり動かれると・・・」
『あ、すいません!』
鏡越しに会話していた俺ら。
牧野が感情余って動いて怒られている。
笑う俺を牧野は睨みつけているが、その顔も可愛いのを牧野は知らねぇだろうな。

牧野は深呼吸しながら廊下を歩き、茶室へ向かう。
ガキの頃、俺も習っていたし何よりも総二郎がいた。
早々に足を崩してしまうが、作法を忘れずにいられるのはそのお陰だろうとも思う。
茶室に入る前、牧野の頬にキスをした。
『何、して・・・』
「緊張するなとは言わねぇけど、ガチガチになりすぎるなよ。今までやってきた事を思い出せ。無駄じゃなかった事を証明してやろうぜ」
『うん。あたし頑張ってきたし、出来るよね!』
「その調子だ。自信持ってやれ」
牧野がホスト側に座ると、俺も次客席へ。
程なくしてババァが茶室に入ってくると主客席へ座る。
牧野が心配なのかタマまで来た。

「それでは、見せていただけるかしら」
『はい』
ババアが来た事で空気が張り詰め、茶室の室温が一度下がった気がした。

牧野が茶を立てる音だけが響く。
何を思ってババアは牧野を見つめているのか。
こんな茶番やめたっていいけど、牧野がそれを許さないだろう。
仕方なしに俺は黙って見ているしかない。
視線の先にいるタマも、心なしか緊張しているように見える。

牧野が差し出した茶器。
ババアが口に含んで器を置くまでの流れから目を離せない。

「結構なお手前で」

次に何を発するのか。
俺までもが緊張して、じわりと手に汗をかく。
「2年弱で、よくここまで習得しましたね。これからも引き続き稽古は続けるように」
『はい』
「クソババアが姑になる事、不服ではなくて?」
『え、いや、今はそんな事微塵も思ってません!』
両手をブンブンと振り否定している。
そういや昔そんな事言ったって総二郎たちが言ってたな。
笑いそうになって、咳払いでごまかした。

・・・ちょっと待て、姑って言わなかったか?
「あなたが思っていなくても、息子にはそう思われているでしょうけどね。では、この結果は主人にも報告させていただきます。あと2か月の契約、及びに稽古事は気を抜かないように。これからも司を頼みますよ、つくしさん」
『私の名前・・・』
目を丸くして、ババアを見つめている牧野。
「あなたもいずれ道明寺の姓になるのです。いつまでも牧野と呼ぶわけにもいかないでしょう。」
そう言ったババアの顔は穏やかで今まで見た事もない顔だった。

「司、」
「はい」
「式は好きなようにすればいいわ。広報用の写真撮影と、披露宴だけはこちらの意を組むように。西田に詳しい事を伝えておきます。」
「わかりました。ありがとうございます」
「あなたに礼を言われるような事は何もありません。全てはつくしさんのお陰でしょう。息子が同性愛者だと言われるこちらの身にもなってみなさい。つくしさん以外に誰がいるって言うんです?」
「いえ、他には・・・」
「2か月後、お父様と共に試験を行います。試験と言いながら、お父様がつくしさんに逢う口実だと思いますけど。その際に、つくしさんのご両親にもご挨拶をと考えています。申し訳ないけれど、出向く時間はなさそうなので上京していただく事は出来るかしら?」
『あ、はい。前もって言っていれば大丈夫です』
「助かるわ。ではこちらの予定が立ち次第、手配させていただきます。」
『ありがとうございます』
座ったまま、深く頭を下げる牧野。
倣うように俺も頭を下げ、ババアが茶室を出ていくのを待った。

心の中でガッツポーズをする。
俺たちの結婚の最大の壁はババアだった。
そのババアが、俺たちの結婚を認めると言ったのだ。
嬉しくて叫びだしたくて、頭を上げ牧野の方を見ればまだ頭を下げたままだ。
「牧野?」
『・・・うぅ~』
ゆっくりと頭を上げた牧野。
その目からは涙がこぼれていた。
「どうした?ババアが結婚認めてくれたんだぞ?」
オロオロする俺に、タマは笑いをこらえている。
「女心がわかっちゃいないねぇ、坊ちゃんは」
「はぁ?」
タマを睨みつけてもどこ吹く風。
杖をついて、茶室を出ていった。

「なぁ、牧野。どうしたんだよ」
牧野の前に移動して、指で涙を拭う。
握った手は少し震えていた。

『・・・すごく、緊張して、何言われるかって、ビクビクして、でも、名前呼んでくれて、嬉しくて、クソババアって、言ってごめんなさいとか、あたしを、道明寺の、結婚相手として、認めてくれてありがとうとか、言いたい事も言えなくて、もうわかんない・・・』

・・・つまりは、いろんな感情でぐちゃぐちゃで整理がつかなくなったわけだな。
名前呼ばれた時点でポカンとしてたし。
何事かと思って焦った。
ったく、こんな姿も可愛く思う自分は、相当惚れてるんだと再確認する。
抱きしめればシャツの胸の部分を控えめに握る牧野。
「言いたい事は、2か月後に言えばいい。それまで整理しとけ」
『・・・うん』

さて、せっかくのオフをババアに潰されたんだ。
着物姿の牧野もこの後の予定はない。
・・・脱がすのは俺の役目だろう。

「部屋戻ろうぜ。それともここがいいか?」
耳元で囁けば、ピキッと音がしそうなくらい牧野の体が固まった。
「どっちがいい?お前に選ばせてやるよ」
意味がわかったのか、牧野の体に熱がこもる。
『・・・・・・部屋、戻る』
「了解」
手を引いて茶室を出る。

俺たちの結婚には、何も障害はなくなった。


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