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It is a tale like a storm.

司つくしメインです。

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あの雨の日に 20

今日はニースの観光地を視察するスケジュール。
牧野を連れてきた本来の理由はこれだ。
いろんなものを見せてやりたい。
こんな男ばっかりで観光地をまわるなんて、むさくるしいにも程がある。
フランス支社の知らない部下の意見よりも、牧野の意見の方が役に立ちそうだし。
今日一日、楽しみで仕方がなかったんだ。

目が覚めた牧野は恥ずかしそうな顔をして、再びシーツで顔を隠した。
『見ないで!』
「イヤだね。俺しか見られない顔だろ?すげぇ可愛かったよ」
『言わないで・・・恥ずかしすぎる・・・』
目しか出ていない顔。
額にキスを落とし、シーツごと抱きしめた。
「俺シャワーしてくるけど、一緒に入るか?」
『無理無理無理!早く行ってきなさいよ』
「わかったよ」
もう一度キスをして、ベッドを降りた。

『なんであんたはそんなに余裕かな』
朝食を頬張りながら、牧野が言った。
「余裕?」
『あたしなんか恥ずかしくて仕方ないっつうのに』
「恥ずかしくなんかねぇよ。やっとお前を手に入れられた幸せの方がデカイ。牧野が俺にしか見せない顔があるのって、すげぇ嬉しいんだぞ」
『あたしだって、う、嬉しかった・・・よ?夢だったわけだし』
「夢?」
『あっ!あ、っと、いやー、まぁね・・・』
「何だよ」
『・・・この年まで経験してないってレアだっていつも言われてて。でも、あたしとしてはやっぱり好きな人とって思ってたの。一生経験できないかもなぁなんて思ったりもしたんだけど、偶然にもあんたに再会できた。だから、運命ってのを信じてみようかなってね』
・・・今自分の顔を見たら、だらしなく緩んでいるに間違いない。
目の前で好きな女が俺との出会いを運命だと言うんだ。
これ以上の幸福感を味わうのは難しいと思う。

ホテルを出てプロムナード・デ・ザングレを歩きながら、行く予定の場所を牧野に告げる。
『全然わかんないけど、楽しみ!でもねぇ・・・』
後ろに控える秘書やSPに目線を向ける。
「しょうがねぇだろ、仕事と半々なんだからよ」
『うん・・・。あ、ねぇ、写真撮っていいでしょ?渡してくれたスマホで!』
「あぁ。気が済むまで撮れ」
『ありがとう』
歩きながらだったり、時々止まってみたり。
たまにカメラが俺の方を向いている事もあった。
フラフラと離れそうになると引き留める。

「スリが多いから気をつけろよ。日本人は金持ってると思われてるから狙われやすい。」
『ス、スリ?』
「なるべくSPつけるようにするけど、勝手にいなくなるなよ」
『う、うんっ!』
スリという言葉を聞いて、少し危機感を感じたようだな。
あまり離れなくなった。
「次行くぞ」
『はーい』
車に乗り、次の目的地へと向かった。

そこからは美術館、数ある教会、旧市街の方へも行き、オペラ座やサレヤ広場にも出向いた。
牧野は終始写真を撮ったり、俺が渡した1000ユーロでちょこちょこ買い物したり。
カードなんか使う奴じゃないって気付くのが遅かった。
現金で渡したら『帰ったら返す!』って言われ、笑ってごまかす。
別に返してもらおうとも思ってねぇけど。
職場の奴らや、自分にとか、タマにとか言いながらお土産を買いこんでいた。

SPの両手がふさがるほど買いこんで、本人は嬉しそう。
牧野が喜ぶこの顔が見たかったんだ。
陽も落ちて、ホテルに戻る時間になった。
「楽しかったか?」
『うん!連れて来てくれてありがとう!歴史がある街って見てるだけで感動しちゃうね。』
「あぁ。異文化はその場に来て、見聞きして感じるものだな。言葉なんかわかんなくても、どうとでもなるんだよ」
『・・・それってあたしの事言ってる?』
「だってお前、フランス語なんか全然わかんないくせに値引きまでして・・・ホント、おっかしい奴だよ」
『少しでも安く買いたいの!観光に来る人だって、みんながみんなセレブばかりじゃないんだから。一生に一度の贅沢として旅行しに来る人もいるわけでしょ?何でも高かったら尻込みしちゃって何もできなくなっちゃうし。』
「そうだな・・・」
今日の観光地の視察でわかってはいた。

旧市街の方は庶民的だった。
活気のある市場は少しでも新鮮な物を安く買おうと集まる人たち、手を繋いだ老夫婦が散歩している海岸沿い。
城跡には展望台があり、家族連れやカップルでにぎわっている。
だんだんと頭の中に構築されていくホテルのイメージ。
車に乗っても膨らんでいく。

その時、助手席に座る西田の携帯が鳴った。
ものの数分。
「代表、イタリア視察を中止してNYに来るようにと」
「・・・ババァか?」
「会長の秘書からです。」
「じゃあ牧野が帰る便を」
「それが、牧野様もご一緒にとの事で・・・」
「牧野も?何考えてやがる、あのババァ!」
「明日発てるように準備いたします。」

隣に座る牧野の体が強張った気がした。
「大丈夫だよ、そんな構えるな」
『だって、』
「俺に任せろって言っただろ?」
『本当に大丈夫?』
「てめぇ、俺を信用してないのか?」
『信用してるよ。でもそれで、道明寺家に何かあったらと思うとそっちの方が心配だし・・・』
「今までだって関係は穏やかじゃなかった。何も変わんねぇよ」
『無理はしないでよ?』
「あぁ」
心配と不安が入り混じり、複雑そうな顔をした牧野。
その肩を抱き寄せ、急きょNY行きが決定した。



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