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It is a tale like a storm.

司つくしメインです。

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あの雨の日に 7

静岡市内の一等地に建つメープル。
上層階に位置するレストランの個室で、牧野と向かい合った。
2人分のコースとワインを頼み、改めてマジマジと見つめる。
『な、何よ。そんなに見たって、何も出ないわよ』
「俺にとっちゃ、お前以上の女なんていないんだけどな」
『そんな口説き文句に騙されないんだから』
「口説き文句・・・?ククッ、そうだな。俺は今、お前を落とそうとしている。何が何でも俺の女にしたい」
『そう簡単に落ちてやらないわよ』
「俺の人生で最難関の交渉相手だよ、お前は。」
取引先にだって、こんなに厄介な奴はいない。
それはきっと、嫌われたくないという思いもあるからだろう。
金になびかない奴に、何をしろっていうんだよ。

ソムリエがワインをサーブしに来る。
グラスを合わせ、一口飲んだ。
牧野が飲みやすいようにと選んだ軽めの赤ワイン。
こんなに美味いと思ったのは初めてだった。
前に飲んだ時は、他のワインと大して変わらねぇなって思ったのに。
『美味しい~こんな美味しいの飲んだことないよ!なんだっけ?口の中に広がる感じ?あ、鼻から抜けるだった!とにかく、本当に美味しいねぇ』
テンパると口数が多くなる癖は直っていないらしい。
出会ってから月日が経って、食事に酒が伴うほど大人になった。
もう酔い始めたのか、ほんのり頬を紅くしている。
仕事で世界中の美人といわれる奴に会う機会があるけれど、俺の心を動かす女はただ一人。
目の前にいる、牧野だけ。

運ばれてきた料理。
『美味しい!この料理法なんだろう?うちじゃこんなの食べられないよ。』
「そりゃお前んとこ割烹だしな」
『本当に美味しいねぇ。なんか思い出すね、あんたとこうやって食事した事』
「覚えてるのか?」
『忘れられないよ。マナーなんて知らなくて、すごく緊張したの覚えてる』
「ガチガチだったもんな」
『でも、あんたに連れて行ってもらったお店はどこも美味しかった。』
「牧野にまずい飯食わせるわけないだろう?」
『美味しいもの食べてる時って本当に幸せ。いくらでも食べられちゃう』
弾む会話に、食事はテンポよく進む。
料理を口に運ぶという視線にしても口にしても逃げ道があるからか。
時々合う視線に、俺は心臓がドキっと跳ね上がるのを感じている。
牧野はどう思っているんだろう。
父親の治療費の為に仕方なく・・・って感じじゃねぇんだけどな。

「デザート、俺の分も食っていいぞ」
『ホントに?相変わらず甘いものダメな、んだ・・・』
言った後に、しまったと言わんばかりの顔をした。
ちゃんと俺の事、覚えてたんだ。
そんな些細な事が嬉しいと思う。
ニヤリと笑った俺に、気まずそうに視線を逸らし皿を受け取った。

「ありがとうございました。またのご利用お待ちしております」
頭を下げる従業員に、自分も頭を下げている。
「ほら、行くぞ」
『あ、うん。本当にご馳走様でした』
ずっと従業員が怪訝な目で見ていたのを知っている。
付け焼刃なマナーは、いろんな客を見ている者からすれば一目瞭然だ。
牧野は知識だけは持っている。
きっと、実践する事がなかったんだろう。
これからは俺がいろんな店に連れていこう。
持っている知識を使わねぇともったいないもんな。



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