っていうか、終わらせたいですね。長すぎです。
私のせいなんですけど。
では、続きをどうぞ↓
道明寺の隣にゆっくりと腰を下ろした。
こんな朝早くにお父さんがここにいるって事は、神戸を出てきたのは夜明け前。
きっと迷惑も心配もたくさんかけた。
寝てないような顔してるし、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
「元気そうでよかった」
『心配掛けてごめんなさい』
頭を下げた。
「頭をあげなさい」
その言葉に素直に頭をあげる。
「今司くんと話していたんだ」
道明寺を見ると、真面目な顔して頷く。
きっと、大丈夫。
そう信じて、あたしは全てを聞き入れようと思った。
「戸籍の問題は民事裁判になる。お前や両親が訴訟を起こさない限りは、罪に問われる事はない。後は、事故現場から勝
手に行方不明者を連れ去った件に関して事情聴取されるだろう。でも、あくまで参考人ってだけだ。これですべて片付く。」
『・・・え?それだけ?』
「法律は俺の為にあるんだよ。警視総監に電話すりゃ、こんな事どうってこともない」
「司くんには参ったよ。全部、“君”の為だ」
“君”・・・
大事な話をしている最中だけど、どうしても気になった。
『お父さん、今まで通り皐月って呼んで』
「でも、もう記憶は戻ったんだろう?」
『それでも、あたしはお父さんの娘だもん。あたしは君って名前じゃないの。ちゃんと呼んで』
「・・・皐月」
『うん。お父さんには皐月って呼んでもらう方がしっくりくる。何があっても、ずっとそう呼んで』
「わかったよ」
『で、ごめんね、話の腰折っちゃって』
「話に腰も腹もあるかよ」
「『・・・』」
相変わらず日本語に弱いみたいで、慣用句を知らないにも程がある。
お父さんまでビックリして口開いちゃってるじゃない。
『とりあえず、続けて』
「後は、牧野が仕事をどうするか。就任したばかりだから、すぐに辞めるわけにはいかない。というのが逢坂社長の見解だ
。」
『それは・・・うん、わかってます。せめて1年くらいは、とは思ってるけど・・・』
「1年と言わず、ずっと続けてくれても構わないよ。養子縁組の解除は退職するまで公表するつもりもないし。」
『でもそれじゃ示しがつかないでしょ?』
「支店を任せられる人材が育つまでは、皐月にやっていてほしい。僕は皐月だから信用して任せられるんだよ。本来なら、
甥以外の20代の子になんか任せたりしない。」
「忙しいのは困るが、仕事をするのは悪くない。どうする?」
『お父さんがそう言うなら、やらせていただきます。仕事自体はやりがいもあるし楽しいし。』
「名前の件も、了承を得ている。仕事中は逢坂皐月。旧姓で仕事してる奴なんか五万といるからな。」
『お父さん、本当にありがとう。あたしを助けてくれた人が、お父さんで本当に良かったって思ってる。』
「皐月、それは僕のセリフだよ。君が娘で本当に良かった。これからも、よろしく頼むよ」
『はい。』
「一緒に朝食でもいかがですか?部屋に用意させます」
「あぁ、じゃあ頼もうかな」
そう言って、立ち上がったお父さん。
窓際に立ってポケットに手を入れて佇む姿は画になっている。
ルームサービスに電話をしている道明寺の声を聞きながら、あたしの目からは一筋の涙が出た。
お父さんの背中が小さく見えて。
一緒に歩けば年上の恋人にも間違われるほどの若さと、人を引きつける魅力に溢れている。
そんな人が5年間も恋人を作らずに、あたしに一身の愛情を注いでくれたのだ。
ソファーから立ち上がり、その背中に抱きついた。
・・・あたしはここにいるよって、どこにも行かないよって伝わるように。
あたしの手にお父さんの手が重なって、そのぬくもりが嬉しくて。
後ろから道明寺が睨んでいようが構わない。
血が繋がっていなくても、戸籍を抜いても父親に変わりはない。
大好きな人だから。
インターホンの音がして、その手が離れた。
振り返ったお父さんはあたしの頭を一撫でして、ダイニングについた。
3人で摂る食事は、あたしには楽しくて仕方ない。
大好きな人に囲まれて、食事も一層おいしく感じる。
『美味しい~』
あたしが笑えば、2人も笑う。
ずっと続けばいいと願わずにはいられなかった。
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