では、続きをどうぞ↓
「皐月が俺を部屋に連れ込むとでも思ったのか?」
防犯上隠れる場所がない、スイートばかりのフロアのエレベーターホール。
俺に顔を見られないようにしている女が1人、不自然に立っている。
会場を出たあたりから誰かがついてきているのは知っていた。
皐月が存在に気付いていないから、ここまで黙っていたのに。
「お前、浅井百合子か?」
「ち、違います!」
「本当に違うんだな?ここの代表に確認してもいいんだぞ?」
「・・・」
唇を噛みしめ、降参したのか否定もしなかった。
「・・・私は!先輩に支持されてやっただけです!そんな、美作様にまで御迷惑掛けようだなんて思ってませんわ!」
腹が立つ。
でも、冷静な部分は残っていた。
「データを今すぐ消せ。・・・出来るよな?」
「は、はいっ!」
慌ててスマホのデータを消している。
「皐月に勝手なこと吹き込むな。あいつは牧野の代わりじゃない。お前と話をするのもバカバカしい。」
そう言って、エレベーターに乗り込んだ。
あいつの名刺は俺の手元にある。
司に話せば、きっと酷いやり方でこの世から抹消されるだろう。
それくらいの事は、されるべきだな。
皐月を傷つけるやつは、誰であっても許せない。
エレベーターを降りて、会場に向かえばロビーに司と総二郎の姿があった。
「よぉ」
「ちゃんと部屋まで送り届けたぞ」
「悪いな。で、あいつなんか言ってたか?」
「これ、元凶はこいつだ」
名刺を差し出す。
「浅井、百合子?」
「たぶん、英徳の卒業生だ。司は皐月に死んだ恋人の面影を重ねてるって言ったらしい。類の事もな。なんか見た事ある
顔なんだよな。もしかしたら、牧野のクラスメイトだったんじゃないか?だから、あんなに詳しく知っていたのかも」
「くそっ、何なんだよ。」
「司。こいつ、皐月が俺を部屋に連れ込むんじゃないかって張ってたんだよ。さらにゆすろうとしてたんだろな。」
「殺す。今すぐ東京湾に沈めてやる」
「いや、それはまずいでしょ。まぁ、人生狂わすくらいはあってもいいんじゃねぇか?」
「「「・・・」」」
「俺、良い人知ってる。宗教上離婚できないって、未だに独身の50近い人がいるんだけど、そろそろ子供欲しいから結婚
相手探してるんだよ。日本人の若い子がいいって。あの人変な性癖持ってんだよな。自慢してた。」
「総二郎、変な人と知り合いだな」
「飲み屋でたまたま知り合ったんだよ。そこそこの金持ちらしいから、ちょうどいいんじゃねぇの?その名刺貸して。俺が話
持ちかけとく。皐月を傷つけるやつは、俺も許せねぇし」
「司は、皐月のフォローだけしてやれよ。類には俺から連絡しとくから。」
司から怒りのオーラが少し和らいだ。
「あきら、さっき司にも話してたんだけどさ、皐月って大学時代彼氏いたんだなって。」
「そうだな、言われてみれば。まぁ、あいつ高校時代もモテてたもんなぁ。司そっくりな奴とか、天草とか。」
「ちんちくりんの成金野郎もいたよな。司がけん制してなきゃもっといたんじゃねぇのか?」
「お前ら、楽しんでるだろう」
「司たちの為に一肌脱いでやってるんじゃねぇか。」
「そうそう。感謝してほしいくらいだぜ。相手が皐月じゃなかったらここまでしねぇよ。」
「お前らには幸せになってもらわねぇとな。」
散々迷惑も心配も掛けられたんだ。
うまくいってくれなきゃ、悲しいよ。
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