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It is a tale like a storm.

司つくしメインです。

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空を見上げた時 9

帰国してから1年が経った。

専務のポジションに就き、忙しい日々を過ごしている。

今日は取引がある会社の新社長就任パーティ。

挨拶だけを先に済ませ、あきらや類と共にいた。

そこに総二郎までいる。

「なんで総二郎までいるんだよ」

「新社長の娘が、小さい頃からうちでお茶やってるんだよ。親父が来れないからその代理。」

「畑違いのお前がいるのも変な感じするな。」

4人でいれば、高校時代に戻ったようだ。

牧野がいない事を除いては。



会場左側にいる俺ら。

会場入り口が騒がしくなってきて、皆がそっちの方を見ている。

「誰だ?」

総二郎が声を上げた。

釣られるように俺らも目線を向ける。

それは・・・逢坂社長が養子縁組したという娘を連れていたのだった。

真っ赤な振り袖を着て、相変わらずの黒髪は結いあげられ、艶やかに歩く姿。

どこからどう見ても、牧野だった。

でも、パーティは苦手なはずだし、逢坂社長と一緒にいる意味がわからない。

他の男と腕を組んで、何を笑っていやがる。

4年も行方不明になったままで、俺がどれだけ心配したか。

グラスを持つ手に力が入る。

一歩踏み出そうしたところで、肩を掴まれた。

「やめとけ。牧野、昔と様子が違うんじゃないか?」

あきらの言葉に、あいさつ回りをする牧野を凝視した。

誰にでも愛想よく笑顔を振りまくのは変わらない。

しかし・・・

ふいに俺らと視線が合うが、口角を仄かに上げ会釈をするだけで、何のアクションもない。

真っ先に俺に抱きついてくるのが普通だろ?

逢いたかったって、目に涙浮かべながら言って。

それで俺は久しぶりに牧野にベタベタ触れてキスして、あわよくばホテルまで・・・

なんていう俺のシナリオを、帳消しにするような態度。

まるで、俺の事を知らない人みたいに見やがって。

・・・まさか、な。

5年前の俺だっていうのか?

そんな偶然あってたまるか。

俺は、逢坂社長たちが挨拶に来るまで大人しく待っている事にした。



「やぁ。類くん、久しぶりだね。」

「お久しぶりです、逢坂社長」

「道明寺さんも。帰国されてからのご活躍は拝見させていただいてますよ」

「それはありがとうございます。」

「西門流次期家元、美作商事常務、4人でお揃いの所を拝見するのは初めてですね。」

「はい、初めまして。美作と申します」

「西門です」

名刺交換も終わり、俺はずっと傍らに控えている牧野ばかりを見ていた。

「ご紹介遅れました。数年前に養女に迎えました、皐月です。ご挨拶して」

『逢坂皐月です。同年代の方たちのご活躍、いつも拝見させていただいております。皆様眉目秀麗というお言葉がピッタ
リで、お知り合いになれた事を嬉しく思います。今後は父の仕事を手伝わせていただきますので、皆様に再びお会いする
事もあるでしょう。その時は、よろしくお願いいたします。』

こんな言葉遣い、牧野はしない。

見た目は牧野だけど、中身が全然違う。

それはみな同じ事を思っているようで、総二郎やあきらでさえ口を開かない。

『私・・・変な事言いました?』

「いや、お美しい方だなって、見とれていたんですよ。」

『フフ、ありがとうございます。皆様ならもっと素敵な方ともお知り合いでしょう?私、国際弁護士の藤堂静さんが憧れ
なんです。お美しい方、というのは彼女みたいな人に使ってくださいね。』

・・・やっぱり牧野だ。

静を憧れだと言うその姿。

俺にとっては太陽のような、天使の笑顔もそのままだ。

「社長の秘書にでもなられるんですか?」

「いいえ。1年間本社の各部署を転々とした後、横浜支店を任せようと思っています。なかなか経営手腕のある子でして
ね、後継者にしたいくらいなんですが、やっぱり娘には嫁に行ってもらいたくて。幸せな結婚が出来ればいいんですけ
ど。」

「だったら僕たちの中から選んでいただいてもいいんじゃないですか?」

「あははは、検討してみますよ。あなたたちみたいな将来有望なジュニアに見染められるなんて、皐月も隅に置けません
ね」

『お父さん、本気にしたら失礼よ』

「そうでもないんじゃないか?・・・では、他にも挨拶がございますので、失礼します」

頭を下げ、他の招待客の方へ挨拶に行った2人。

「牧野・・・だよな」

「あぁ、牧野だった」

「司のデジャブ?俺らの事忘れてるんじゃないの?」

「・・・その可能性も否定できないな」

記憶喪失。

思い出したくもない、牧野を散々傷つけた俺の過去。

その間、俺は違う女を側に置き、思いあがらせるほど入れ込んだ。

牧野は俺の元へ通い、何を言われても見ても気丈に振る舞っていた

思い出さない俺にキレた牧野が、野球のボールを投げたから思い出した。

今でも胸を締め付ける、思い出したくはないけど忘れてはいけない出来事。

もし、牧野が同じ状態で。

俺は牧野だけを忘れたけど、あの事故で全てを忘れていたのなら。

今の状況に説明がつく。

俺らを見て何も思わないのも。

行方不明になった理由も。

予想が的中した喜びと、牧野が自分を忘れているショックと。

言いようのない胸のざわつきを感じながら、4人とも牧野の話を一切することなく会場を後にした。





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