『何?』
「時々こうやって会えないか?」
『あ、え、へ?』
顔を上げた牧野は、大きな目を更に大きくしていた。
「もう別れろなんて言わねぇよ。
お前を今まで支えてくれた啓太には恩義さえ感じるくれぇだ。お前が啓太と結婚してなきゃ、再会する事もなかったかもしれないしな。
でも、やっぱり俺にはお前が必要だ。不倫なんてあきらみてぇな事、俺がするとは思ってなかったけどよ。
後ろめたさや罪悪感を否定しない。バレないようにするのは大変かもしれないな。
だけど、お前の身体を知ってしまったら、他の女は抱けそうにないんだ。頼むよ。」
『…そこに感情は存在するの?
あたしは…今だけは道明寺を好きだった頃のあたしに戻ったの。
でも、数時間後には啓太の妻のあたし。
道明寺はそれを受け入れる事ができるの?あたしは啓太にも抱かれるのよ?』
最もな話だ。
独占欲の塊だった俺が、そんな事耐えられるのか。
だけど、今の牧野と会うためには譲歩しなきゃならねぇ。
「あぁ、やってやるよ。牧野に会えるならなんだって耐えてやる。その代わり、俺と会ってる時は俺以外の事を考えるな。いいな?」
『相変わらず横暴ね。考えられないくらい道明寺でいっぱいにしてくれればいいでしょ』
「…っ!可愛い事言うようになったな。」
『二人きりの時は甘えるよ?離れたくないって思っちゃうかもね。』
「思いきり甘えろ。俺の報われない想いを、ここだけで発散させてくれ」
『司…』
牧野から触れるだけのキスをされる。
その後は細かい約束をした。
連絡の仕方。
キスマークはつけない、
もちろん避妊すること
滋や桜子にはアリバイ作りのためにこの関係を話すという事
F3には時期をみて…
制限だらけのこの関係。
いつまで持つかもわかんねぇ。
周りが見えてないってのもわかってる。
たとえ、俺と牧野の未来が交わることがないとしても。
牧野がいない人生だけは、考えられないんだ。
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