でも、類がいるとその役目を奪われる。
今回だって、突然会社に来たかと思えば、つくしの体調不良を言い当てた。
今朝までは顔色だっていつも通りだった。
最後にまともにつくしの顔を見たのは、朝のスケジュール確認まで。
それまで来客続きで、さっき途切れたばかりのところに類が現れたのだ。
焦って医者を呼ぶかと言えば、返ってきた言葉に忘れかけていたつくしの告白を思い出す。
ベッドの上で、もうピルを飲んでいないと言ったつくし。
子供ができる行為は飽きることなく繰り返している。
好きだ、愛してると言うセリフを言わないつくしは、俺のセリフに同意する程度でその愛情を図り知る事が出来ない。
強引に迫って恥ずかしがるつくしが俺の腕の中に陥落するまで、結構な労力を使っている事を知らないだろう。
それさえも今は楽しいと思える。
どれだけ自分がつくしを愛しているか、本当に伝わっているのか苛立ちを感じる時もあった。
言葉にしないつくしが、自らの意思でピルをやめた事。
俺も知らずに避妊はしなかった。
俺との子供なら妊娠してもいいと思ったんだろ?
仕方ないから、それがお前からの愛情表現だって思って受け取ってやるよ。
「もし妊娠していたら、いや、していなくても、俺と一生を添い遂げてくれるか?」
もう少し2人で過ごしたいとも思うけど。
親の愛情を知らない俺が、父親になれるのか不安だけど。
疑問形になったのは、その不安の表れか。
つくしの返事を聞いて、今すぐにでも籍を入れたい。
そんな衝動に駆られた。
「司、俺の存在忘れてるでしょ?」
声の持ち主の方を向けば、類がいた。
そうだった、忘れてた。
とたんに真っ赤になったつくし。
類「まぁいいけどね。牧野が幸せになれるなら。」
司「当たり前だろ?俺様と結婚するんだからよ」
類「司だから、不安なんだけど?」
司「どういう意味だ?」
つくしは未だ俺の腕の中。
思わず力が入り、『うぐぅ…』とつくしの口から洩れる。
同時に背中を叩かれ、パッと抱きしめていた腕を解いた。
司「わりぃ、大丈夫か?」
『はぁぁ、気をつけなさいよね、死ぬかと思った』
口調は怒っているものの、顔は笑っている。
類「牧野、今晩食事でもどう?実は総二郎とあきらも来てるんだよね」
司「じゃあ何で類1人なんだ?」
類「今回は民間機で着たからね、あの2人はCAと会ってるよ」
想像できる光景に、つくしと共にため息が出た。
類「後で合流して5人で飯食おうよ。メープルならすぐ取れるでしょう?」
『電話してみる。』
つくしが携帯を取り出して、電話をかけ始めた。
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